前回の5倍双眼鏡は意外に少なくて困ってしまいました。
今回は6倍です。
11台有りました。同型で複数有るのははぶいています。
このうちの7台はレトロ機種。手前4台が現行機種です。
小さい機種から。左がNIKON Mikron 6x15 IF。
右がCarton 6x15 CFです。
さらに、左がOKAYA VISTA 6x15 IF。
右がNikon Look 6x18 CFです。
この4機種とも片手に乗る大きさです。
Nikon Mikron は今でこそ手のひらに乗るこのタイプしか有りませんが、
以前は大きなMikronも有りました。どれもとても良くできた双眼鏡だと思います。
この6x15 IFはその中でも古いですね。
IF(Individual Focus)というのは左右別々にフォーカスを合わせる方法です。
ちょっと面倒です。ちょこちょこピントを合わせ直すような場面では使いにくいです。
でもメリットも有ります。まず、構成部品が少ないこと。
ということは造りやすい。故障も少ない。軽くできる。小さいものが作りやすい。
でもその一番のメリットは防水型が作りやすい事です。
現在販売されている双眼鏡でIFで非防水はほとんど無いと思います。(ワイドビノなど特殊なものはのぞいて)
そんなわけでこのMikronとVISTAは今ではめずらしいものだと思います。
両方とも防水ではありません。でもそのかわりにとても小さくできてます。
このMikronは内部に少しカビが有ったのでNikonに修理に出したのですが、
「あまりに古く、修理中にこわれるかもしれないので修理不能」と言われそのまま使っています。
視野の周辺のゆがみはNikonとしては若干多め。発色は若干黄色めです。
それでも普通に(昼間、順光で)使うには問題なく、たまに持ちだしては総金属製のレトロな雰囲気を楽しんでいます。
Cartonの6x15はNikon Mikronをめざしたという感じでしょうか。
といっても当時の日本製です。けっこうちゃんと見える双眼鏡です。
Mikronほど小さくなく、そして見え味は本家にはおよびません。
こちらのほうが視野が若干狭く明るさも落ちます。アイレリーフもチョットだけ負けてます。
視野周辺のゆがみはMikronと同じぐらい。発色はノーマルです。
素人が自分で整備するのも可能ですのでオークションなどで見かけたら手に入れるのもいいと思います。
次のOKAYA VISTA 6x15もIFです。
こんな感じです。いつもポケットに入れておきたいかわいさです。
ご存じの方も多いと思いますが、これはドイツのCARLZEISSのTELEATERのコピーです。
本家の倍率は3倍。ほとんど同じ大きさでこちらは6倍です。
明るさでは当然VISTAが劣りますが他はそれほど負けていないと思います。
視野周辺のゆがみはMikronより少なくほとんど気にならないレベルです。
発色もノーマルで実用向きです。
姿かたちや雰囲気も女性が持っても似合うと思います。
今では中古を扱うカメラ店かアンティークショップ、オークションでしか手に入らないと思いますが
ちゃんと程度を確認できたら手に入れて実用したい双眼鏡です。
その際はCF(Center focus)のほうが使いやすいと思います。
Nikon Look 6x18はシリーズで販売されてかなりのヒット作だったように記憶してます。
6x18、7x21、8x24の三機種が有りました。
気づかれた方も多いと思いますが、すべて瞳径が3ミリです。
6x18は、倍率6倍で対物レンズの口径が直径18ミリ。
口径÷倍率=瞳径(射出瞳径)です。瞳径が大きいほど明るくなります。通常最大7ミリです。
Lookシリーズはすべて3ミリで同じです。
普通同じシリーズで出す時は口径を同じにして倍率を変えるのがほとんどです。7x50、10x50、12x50などですね。
そのほうが部品を共通にできたりのメリットが有りますから。
倍率も口径も違ったらそのメリットは有りません。まったく違うものを3機種造るようなものです。
Nikonも余裕が有ったんだな―と思いますね。
その結果は、明るさが同じで6倍7倍8倍からユーザーが自分の好みで選べる。
いいですね。さっきの例だと倍率を上げると暗くなりますがLookは同じです。
で肝心の見え味ですが、アイレリーフが短い事以外はとてもいいです。
持ちやすく滑りにくい形と表面処理。
無理のない逆ポロ設計。
対物レンズに触ってしまう事を想定した保護ガラスをデザインにしたこと。
いろんな工夫が楽しい双眼鏡だと思います。そして、女性も許せるデザインですよね。
………6倍双眼鏡の続きは次回に。